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オーディオファンにとって、スピーカーは単なる“音の出る箱”ではありません。
それは「空間に音を描くための楽器」であり、形そのものが音を支配します。
今回買取させていただいた BOSE 111PYB は、まさに“形が音を生む”という
ボーズ哲学を体現したモデルでした。
BOSE 111シリーズは、1980年代後半から1990年代にかけて登場した
コンパクトスピーカーで、業務用・家庭用の両方に対応する万能モデルとして知られています。
その最大の特徴は、立方体に近いシルエットを持つ独特のフォルム。
幅・高さ・奥行きがほぼ均等に設計されており、棚の上やデスク、壁掛け、
さらには天吊りまで、どんな空間にも溶け込む高い設置自由度を誇ります。
この“立方に近い箱”こそ、111PYBの音響的な核心です。
スピーカー内部の空気の流れを効率的に制御し、低域から高域までの再現性を
安定させるため、無駄な共振を抑えるよう内部構造が設計されています。
BOSEが長年培ってきた「小さな箱から大きな音を出す」技術が凝縮されており、
サイズを超えたスケール感を実現しています。
また、111PYBは外観デザインにも独特の美学があります。
無駄のない直線で構成された筐体は、見た目の印象以上に“音響的機能”を果たすための造形です。
角の処理や内部の空気流動まで計算され、どの角度に設置しても定位と音の拡がりを
損なわない設計になっています。
ブラック一色のマットな仕上げに、BOSEロゴが控えめに配置されたその姿は、
どんな部屋にも自然に馴染みながら、確かな存在感を放ちます。
特に印象的なのは、111PYBの“姿勢の良さ”とも言える立ち姿です。
壁面に取り付けても、デスクの上に置いても、その立方的バランスが保たれ、
見た目の安定感と音響的安定が一体となっています。
それはまるで「形が正しいから、音も正しい」と言わんばかりの精巧さ。
BOSEというブランドが常に追求してきた、「科学的合理性とデザイン性の融合」を、
この小さな箱は見事に体現しているのです。

スピーカーにとって“形”とは、単なる外観デザインではなく、「音の流れそのもの」を司るものです。
BOSE 111PYBは、その典型的な成功例と言えるでしょう。
このモデルの音を一言で表すなら、「小さくても広い」。
その秘密は、筐体の立体バランスにあります。
立方体に近い形状は内部の空気圧を均一に保ち、不要な反射や定在波を抑える効果を生みます。
結果として、サイズ以上の低音の量感と、驚くほどナチュラルな中高域が実現されています。
また、BOSE特有のポート設計が低音の伸びを支えています。
一般的なスピーカーではポートからの風切り音やノイズが発生しがちですが、111PYBでは
それを最小限に抑えるため、空気の流路が丁寧にチューニングされています。
この“空気の整流”が、小型スピーカーとは思えないほど滑らかで力強い低域を支えているのです。
さらに、111PYBはフルレンジスピーカー構成であり、1本のユニットが全帯域をカバーします。
そのためクロスオーバーによる位相ズレがなく、音像定位が非常に明確。
ヴォーカルやアコースティック楽器の輪郭が立ち上がり、音場の中心にピンと芯のある音像を描きます。
ステレオイメージの安定感も高く、左右のスピーカーを適切に配置すれば、
小規模なリスニングルームでも“空間を包み込むような音”を再現できます。
形の良さは、設置の自由度にも直結します。
奥行きが浅いため壁際設置でも音がこもりにくく、音の反射が整っているため、狭い空間でも豊かな広がりを感じられます。
壁掛けにすれば、天井から降り注ぐような立体感。棚置きにすれば、デスクトップでも音場が自然に広がる。
まさに“置き方を選ばない自由さ”がこのスピーカーの最大の武器です。
今回買取させていただいた個体も、長年使われながらも音出しに全く問題がありませんでした。
経年による使用感はありましたが、BOSEらしい芯の通ったサウンドと、穏やかに空間を包む中域の柔らかさが健在。
形が生み出す音のバランスは、年月を経てもなお揺るがないことを改めて感じさせてくれました。
111PYBの形は、“音の拡がりを支えるための構造体”そのもの。
小型スピーカーが持つ限界を超えるための答えが、この立方体の中に凝縮されているのです。

今回、広島県のお客様からお送りいただいたBOSE 111PYB。
「断捨離をしていたら、昔のスピーカーが出てきた」とのことでした。
長年眠っていたスピーカーが再び光を浴びる瞬間は、どこかノスタルジックで、
音楽ファンなら誰もが共感できるものがあります。
111PYBの形には、単なる工業製品を超えた“時間の重み”が宿っていました。
角の擦れやわずかな傷跡は、音楽を聴いてきた日々の記憶そのもの。
それでも動作は良好で、スピーカーとしての命はしっかりと息づいています。
この堅牢な造りと形の美しさが、BOSEというブランドが長く信頼されてきた理由でもあります。
BOSE宅配買取専門店【ボーズ屋】では、そんな“音楽の記憶を持つ機材”を丁寧に扱い、
次のオーナーへとつなげています。
査定料・送料は無料、宅配キットも完備。
専門スタッフが一台ずつ音を確認し、状態だけでなく「その機材が持つ価値」を正当に評価します。
故障している機材や古いモデルも買取対象としており、長く愛されたオーディオに再び命を
吹き込むことを大切にしています。
形あるものには、必ず意味があります。
特にスピーカーは、ただの箱ではなく、音を宿す“器”です。
BOSE 111PYBのようなスピーカーは、形がそのまま音の哲学を表していると言っても過言ではありません。
設計者の思想、使い手の時間、鳴らしてきた音楽――そのすべてがこの小さな立方体に込められています。
買取とは、単に“手放すこと”ではなく、“次へつなぐこと”。
111PYBの形は、次の持ち主の部屋で再び音を響かせ、新たな音楽時間を刻んでいくでしょう。
それは、オーディオ機材が持つ最大の魅力――「形を変えても、音は生き続ける」ということを象徴しています。
音楽を愛するすべての方へ。
もしご自宅に、しばらく鳴らしていないスピーカーがあるなら、その形をもう一度見つめてみてください。
そこにはきっと、あなたが過ごした音楽の時間と、次へと続く新しい物語が眠っています。
BOSE 111PYBのように、形と音がひとつになったスピーカーには、時代を超えて人の心を動かす力があります。
**BOSE宅配買取専門店【ボーズ屋】**は、こうした「音と形のストーリー」を大切に、
今日も全国から買取を行っています。
ヘッドホン買取・イヤホン買取・スピーカー買取をはじめ、BOSE以外のオーディオも査定可能。
“専門店ならではの査定”で、あなたの大切なオーディオ機器を新たな音楽人生へと送り出します。

























